snap版Nextcloudを、Let’s Encrypt・自己署名証明書・独自の証明書のいずれかでhttps化する方法を、公式のコマンドに沿って紹介します。
管理人本記事の読者層は以下の方を想定しています。
- snapで入れたNextcloudをhttps化したい方
- Let’s Encrypt・自己署名証明書・独自の証明書のどれを使うか迷っている方
Nextcloudをhttps化する方法は3種類(snap版)
snap版のNextcloudは、nextcloud.enable-httpsというコマンド1つでhttps化できます。証明書の種類を3つの中から選んで実行するだけです。https化すると、httpのアクセスはhttpsへ自動的にリダイレクトされます(公式Wikiの記載)。
| 方法 | コマンド | 特徴 |
|---|---|---|
| Let’s Encrypt | sudo nextcloud.enable-https lets-encrypt | ドメイン名と、外部から届くポート80・443が必要。証明書は自動で更新される |
| 自己署名証明書 | sudo nextcloud.enable-https self-signed | 手軽に使える。ブラウザに証明書の警告が出る。証明書は自動で更新される |
| 独自の証明書 | sudo nextcloud.enable-https custom 証明書 秘密鍵 チェーン証明書 | 他で入手した証明書ファイルを指定する。自動更新の対象ではない |
具体的な手順は、後半の「snap版Nextcloudをhttps化する手順」で説明します。なお、本記事の手順はsnap版が対象で、Docker版のNextcloudには当てはまりません。
Nextcloudとは
「Nextcloud」は、「Owncloud」と同様にオンラインストレージとして無料で利用できるLinuxやWindowsのNAS(ネットワークストレージサーバー=Network Attached Storage)です。Nextcloud社が、2016年に「Owncloud」のスタッフが独立してowncloudをフォークすることで「Nextcloud」を作ったそうです。筆者も自宅サーバーOwncloudを2017年から利用しており、その後Nextcloudへ移行しました。
詳細はNextcloudのHPからも確認できます。


同様のサービスとして、GoogleDrive(無料は15GB。GmailやGoogleフォトと共有)やOneDrive(無料は5GB)、Dropbox(Basicプランの無料は2GB)がありますが(2026年10月時点)、どうしても無料で利用する場合には、容量不足で悩んでしまいます。
一方で、「Nextcloud」を自宅サーバーへインストールすることで、自宅サーバーのディスク容量の範囲で使える、無料のオンラインストレージを運用できることが最大のメリットです。デメリットも伝えておきますと、自宅サーバーなどへインストールする際は、メンテナンス費用がかかります。しかし、それだけの価値があります。
https化のメリット
NextcloudでWEB会議システム「Talk」を利用する際に、接続が必要となったためです。
また、snap版のNextcloudでは、https化するとhttpのアクセスが自動的にhttpsへリダイレクトされ、Let’s Encryptと自己署名証明書は自動で更新されます。詳細はNextcloud snap公式Wikiの「Managing HTTP encryption (HTTPS)」に書かれています。
Owncloudとの比較
OwnCloudは、データの共有と同期に重点が置かれています。一方で、Nextcloudはビデオ会議や共同作業などの他の機能を提供しており、サービスの範囲が大幅に違うという特徴を持っています。
Owncloudの詳細とインストールの仕方については以下の記事をご参照ください。


Nextcloudはプログラム言語「php」の他、導入するにはwebサーバー「apache」とデータベースサーバー「MySQL」が必要です。環境構築が難しいため、本記事では「snap」を用いコンテナ化されたnextcloudをインストールします。
自宅サーバーへのNextcloudのインストール環境
Nextcloudのインストールには、以下のソフトウェアが追加で必要となります。
- オペレーティングシステム (①Ubuntu 16.04以降、②Windows10/11 WSL1とWSLS)
- MySQL 8以降、MariaDB 10以降
- httpサーバー Apache 2.4
- スクリプト言語 PHP 7.1+
上記は公開当時(2023年2月)に記載した要件です。対応するOS・PHP・データベースのバージョンはNextcloudの版ごとに変わるため、最新の要件は公式のシステム要件ページで確認してください。
この条件の環境構築にはある程度のサーバー管理経験が必要となることから、Nextcloudの最も簡単なインストール方法として、
- Linux環境に直接インストールする方法としてsnapによるインストール
- Linux環境の仮想環境にインストールする方法としてDockerによるインストール
の2つがお勧めです。本記事では前者のインストール方法について解説します。
今回は、Linux(サーバーに直接)へインストールする方法とWindows OS (のWSL/WSL2を利用してサーバー) へインストール方法を紹介します。
Nextcloud環境
- Windows 11 (zen2) or Ubuntu 18.04 LTS (Xeon)←自宅サーバー
- Nextcloud
バージョン 25.0.1 (Nov. 3, 2022)
上記は公開当時(2023年2月)の環境です。
Linux UbuntuへNextcloud(snap版)をインストール
Ubuntu 18.04 LTSへのインストール
2026年10月時点の注意として、Ubuntu 18.04 LTSの標準サポートは2023年5月31日に終了しています。Ubuntu Proに登録すると、2028年4月までセキュリティ更新を受けられます。詳細はUbuntu公式の18.04 LTSのページをご覧ください。
インストール方法は以下のコマンドをUbuntuサーバーのコマンドプロンプトよりタイプするだけです。
$ sudo snap install nextcloud







ということで、デバイスの選択ができません。
後は、指示に従って対応するだけとなります。
インストール先は、「/var/snap」上でコンテナとしてインストールされています。
現在のsnapのリストを確認するには、「snap list」コマンドを入力すると他のコンテナリストとバージョン情報を確認することができます。
$ sudo snap list
Name Version Rev Tracking Publisher Notes
bare 1.0 5 latest/stable canonical? base
core18 20221027 2620 latest/stable canonical? base
core20 20221027 1695 latest/stable canonical? base
core22 20220902 310 latest/stable canonical? base
gnome-3-34-1804 0+git.3556cb3 77 latest/stable/… canonical? -
gnome-3-38-2004 0+git.6f39565 119 latest/stable canonical? -
gnome-42-2204 0+git.d874303 29 latest/stable canonical? -
gnome-calculator 41.1-4-g5c9869a58c 920 latest/stable/… canonical? -
gnome-characters 42.0 781 latest/stable/… canonical? -
gnome-logs 42.0 115 latest/stable/… canonical? -
gnome-system-monitor 42.0 181 latest/stable/… canonical? -
gtk-common-themes 0.1-81-g442e511 1535 latest/stable/… canonical? -
nextcloud 24.0.6snap1 31751 latest/stable nextcloud? -
snapd 2.57.4 17336 latest/stable canonical? snapdsnapの使い方や特徴は以下のリンクをご参照ください。


snap版Nextcloudをhttps化する手順
ここからは、snapでインストールしたNextcloudをhttps化する手順です。コマンドはNextcloud snap公式Wikiの記載に沿っています。いずれもUbuntuサーバーのコマンドラインで、sudoを付けて実行します。
どのコマンドを使うか迷う場合は、オプションの一覧を表示できます。
$ sudo nextcloud.enable-https -hLet’s Encryptの証明書でhttps化する
Let’s Encryptで証明書を取得する場合は、次のコマンドを実行します。実行すると、ドメイン名など必要な情報の入力を求められます。
$ sudo nextcloud.enable-https lets-encryptLet’s Encryptは、Nextcloudがポート80と443で公開されていることを前提にしています(公式Wikiの記載)。取得した証明書は自動で更新されます。
自己署名証明書でhttps化する
自宅のネットワーク内で試すだけなど、手軽にhttps化したい場合は、自己署名証明書を使えます。
$ sudo nextcloud.enable-https self-signed自己署名証明書は、第三者機関が発行したものではないため、ブラウザで開くと証明書の警告が表示されます。
他で入手した証明書でhttps化する
別の方法で入手した証明書と秘密鍵がある場合は、customを指定して、ファイルを渡します。証明書・秘密鍵・チェーン証明書の順に指定します。公式のテスト手順では、ファイルを/var/snap/nextcloud/common/に置いてから実行しています。
$ cd /var/snap/nextcloud/common
$ sudo nextcloud.enable-https custom cert.pem key.pem chain.pemこの方法で設定した証明書は、自動更新の対象ではありません。有効期限が切れる前に、ご自身で入れ替えてください。
ポート番号を変更する
https化を有効にすると、Nextcloudはポート80と443で待ち受けます。ほかのサービスとポートが重なる場合は、次のコマンドでポート番号を変更できます。公式のテスト手順では、先にhttps化を有効にしてから、httpsのポートを変更しています。
$ sudo snap set nextcloud ports.http=81 ports.https=444現在のポート設定は、次のコマンドで確認できます。
$ sudo snap get nextcloud portsなお、公式Wikiには、Let’s Encryptはポート80と443で公開されていることを前提にする、と書かれています。Let’s Encryptを使う場合は、ポートを変更する前にこの点を確認してください。
うまくいかないときの確認と、https化の解除
Let’s Encryptで入力を間違えたときは、sudo -iでrootに切り替えてから、もう一度コマンドを実行します。
$ sudo -i
# nextcloud.enable-https lets-encrypt原因を調べるときは、Let’s Encryptのログを確認します。
$ sudo cat /var/snap/nextcloud/current/certs/certbot/logs/letsencrypt.loghttps化をやめる場合は、次のコマンドを実行します。このコマンドは証明書のファイルを削除しません。
$ sudo nextcloud.disable-httpsWindows10/11のWSLへインストールする場合
Windows上のWSLへのインストール
Windows上で動作するWindows Subsystem for Linuxのubuntu OS 18.04.5 LTSでnextcloudがインストール可能かについても検証してみました。


上記のネイティブ環境とはことなり、インストール用コマンドを入力してみたところ
$ sudo snap install nextcloud
Interacting with snapd is not yet supported on Windows Subsystem for Linux 1.
This command has been left available for documentation purposes only.とインストールが中断されてしまいました。表示されたメッセージのとおり、WSL1ではsnapdがサポートされていないため、snapは使えません。WSL2ではsystemdを有効にすることで利用できます(次の項目を参照)。逆にDocker上で行った方が良いかもしれません。
Windows上のWSL2へのインストール
Windows上で動作するWindows Subsystem for Linux 2のubuntu OS 18.04.5 LTSでNextcloudがインストール可能かについても同様検証してみました。
インストール方法は以下をご参照ください。


WSL2はWSLと違い仮想環境にも対応しています。同様のコマンドを入力すると、下記のエラーが表示され、インストールできませんでした。
$ sudo snap install nextcloud
error: cannot communicate with server: Post http://localhost/v2/snaps/nextcloud: dial unix /run/snapd.socket: connect: no such file or directoryこのエラーは、snapdの通信用ソケット(/run/snapd.socket)が存在しない、つまりsnapdが起動していない状態で出ます。
WSL2では、systemdを有効にするとsnapが使えるようになります。Microsoftの公式ドキュメントによると、/etc/wsl.confに次の2行を追記し、WSLを再起動します。なお、wsl --installで入れる最新のUbuntuでは、systemdが最初から有効です。
[boot]
systemd=trueCanonicalの公式ブログでは、systemdを有効にしたUbuntu WSLでsudo snap install nextcloudを実行する例が紹介されています。詳細はMicrosoftのWSLでsystemdを有効にする手順と、Canonicalの解説ブログをご覧ください。
Nextcloudの便利なプラグイン
以下にNextcloudの便利なプラグインを紹介します。


Nextcloudクライアントソフトのインストール
クライアントアプリ(同期アプリ)の種類として、Windows8.1以降、macOS, Linux等があります。
macOSへクライアントソフトをインストールする方法


Windowsへクライアントソフトをインストールする方法


Nextcloudモバイルアプリ
AndroidおよびiOS用のNextCloudクライアントを使えば、安全な暗号通信でファイルを同期、編集、共有できます。
これらNextCloudのクライアントソフトはGoogle PlayやApp Store経由でインストールすることもできます。
Nextcloudをアンインストールする方法
以下のコマンドでNextcloudをアンインストールすることができます。
$ sudo snap remove nextcloudNextcloudのよくある質問
Nextcloudは無料で使えますか?
自分のサーバーで運用する場合、Nextcloud本体は無料で使えます。ライセンスはAGPL-3.0のオープンソースです。企業向けには、長期サポートなどを含む有料のサブスクリプションが別に用意されています。
Nextcloudはどこの国のサービスですか?
開発元はNextcloud GmbHです。2016年に、ownCloudの中心的な開発者だったFrank Karlitschek氏らがownCloudをフォークして作りました。GmbHはドイツ語圏の有限会社の形態で、Nextcloudはドイツ発のプロジェクトとして知られています。
Nextcloudではどんなことができますか?
ファイルの共有と同期のほか、本記事で触れたWEB会議システム「Talk」など、共同作業の機能を使えます。機能を追加するプラグインについては、前述の「Nextcloudの便利なプラグイン」の記事をご覧ください。
まとめ
snap版Nextcloudは、nextcloud.enable-httpsコマンドで、証明書の種類を選んでhttps化できます。
- Let’s Encryptは
lets-encrypt、自己署名証明書はself-signed、他で入手した証明書はcustomを指定する - Let’s Encryptはポート80と443で公開されていることが前提で、Let’s Encryptと自己署名証明書は自動で更新される
- https化をやめるときは
sudo nextcloud.disable-httpsを実行する(証明書は削除されない)
用途に合った証明書を選んで、Nextcloudを暗号化通信で使えるようにしましょう。
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