Nextcloudは、自宅サーバーに入れて使える無料のオープンソース・ストレージです。本記事では、Ubuntu実機とWindowsのWSL/WSL2にsnapでインストールした2022年11月の検証結果と、2026年9月時点の公式情報にもとづく動作環境・注意点を紹介します。
管理人本記事の読者層は以下の方を想定しています。
- Ubuntuの自宅サーバーにNextcloudをsnapでインストールしたい方
- Windows10/11のWSL/WSL2でNextcloudが動くか知りたい方
- GoogleドライブやDropboxの無料容量に不満があり、自分で容量を管理できるストレージを探している方
Nextcloudとは
Nextcloud(ネクストクラウド)は、自分のサーバーにインストールして使えるオープンソースのオンラインストレージです。 ソフトウェアは無料で使え、保存できる容量は、サーバーに接続したディスクの容量で決まります。
クラウドストレージの無料枠には、サービスごとに上限があります。たとえばGoogleアカウントは、Googleドライブ・Gmail・Googleフォトの合計で最大15GB(Googleのヘルプ)、Dropbox Basicは2GB(Dropboxのヘルプ)です(2026年9月21日確認)。
容量が足りなくなったときの選択肢のひとつが、自分のサーバーにNextcloudを入れる方法です。
- Nextcloudは以下のHPから詳細を確認できます。


「Nextcloud」は、「ownCloud」と同様に、Linuxサーバーで動かせる無料のオンラインストレージです。
Nextcloudは、2016年に「ownCloud」から分岐(フォーク)して生まれました。
また、個人が自宅のNAS(Network Attached Storage:ネットワーク接続ストレージ)としても利用できます。
筆者も自宅サーバーでownCloudを2017年から利用しており、その後Nextcloudへ移行しました。
Nextcloudのメリットとデメリット
- ソフトウェアを無料で使える。
- 保存できる容量は、自分のサーバーのディスク容量で決まる。ディスクを増やせば、保存できる量も増やせる。
- データの保存場所を自分で管理できる。
- カレンダー・タスク・チャット(Talk)などのアプリを追加できる。
- サーバーの管理・更新・バックアップを自分で行う必要がある。
- 機器代や電気代がかかる。機器の故障や停電に備えて、バックアップも別に用意したい。
- 外部に公開する場合は、HTTPS化などのセキュリティ設定が必要になる。
Nextcloudの最大のメリットは、ソフトウェアが無料で、保存容量を自分のディスクの範囲で増やせることです。
一方で、サーバーの管理・更新・バックアップは自分で行う必要があり、機器代や電気代もかかります。運用の手間を許容できるかが、導入を判断するポイントです。
ownCloudとの比較
ownCloudは、データの共有と同期に重点が置かれています。
一方で、Nextcloudはビデオ会議や共同作業などの機能も提供しており、周辺アプリの利用範囲が広いという特徴があります。
ownCloudの詳細とインストール方法については以下の記事をご参照ください。
- ownCloudは以下のHPから詳細を確認できます。


自宅サーバーへのNextcloudのインストール環境
Nextcloudを手動でインストールする場合は、プログラム言語「PHP」に加えて、Webサーバー(Apacheなど)とデータベースサーバー(MySQLなど)を自分で用意する必要があります。具体的には、①Webサーバーの構築、②PHPのインストール、③データベースサーバーの構築、④Nextcloud本体の構築の順に進めます。
手動インストールに必要なソフトウェアは、以下のとおりです(Nextcloud公式の動作要件、2026年9月21日確認)。
- オペレーティングシステム(64bit) Ubuntu 26.04 LTS(推奨)/ 24.04 LTS、Debian 13、RHEL 10 / 9 など
- データベース MySQL 8.4 / 9.7、MariaDB 10.11 / 11.4 / 11.8 / 12.3、PostgreSQL 14〜18
- Webサーバー Apache 2.4(mod_phpまたはphp-fpm)、nginx(php-fpm)
- PHP 8.3 / 8.4 / 8.5(8.5を推奨)
詳細は、Nextcloud公式の動作要件を確認してください。
これらの環境構築にはサーバー構築経験が必要であるため、Nextcloudの簡単なインストール方法を以下2つ紹介します。
- 【方法1】Linux環境に直接インストールする方法としてsnapによるインストール
- 【方法2】Linux環境の仮想環境にインストールする方法としてDockerによるインストール
本記事では、環境構築がより簡単な【方法1】「snap」を用いてNextcloudをインストールします。 snap版には、Apache・PHP・MySQL・Redisが同梱されているため(snap版のREADME)、上記のソフトウェアを別に用意する必要はありません。
以下、本記事ではsnapのインストール方法について解説します。
【方法2】のDockerの仮想環境下でNextcloudをインストールしたい場合には以下をご参照ください。


Nextcloudをインストールする環境
サーバーにインストールする方法として、Linux実機へインストールする方法 (Ubuntu 18.04/20.04 LTS)とWindows OSの仮想環境へインストールする方法 (Windows 10/11 WSL/WSL2を利用した仮想サーバー) を紹介します。
どちらも実行するコマンドは同じですが、結果は環境によって異なりました。2022年11月に行った検証の結果は、次のとおりです。
| 環境 | 検証結果 |
|---|---|
| Ubuntu 18.04/20.04 LTS(実機) | sudo snap install nextcloud でインストールできた |
| WSL(WSL1) | 「Interacting with snapd is not yet supported on Windows Subsystem for Linux 1.」と表示され、中断した |
| WSL2(Ubuntu 18.04.5 LTS) | snapdと通信できないエラーが表示された |
- オペレーティングシステム
①Linux実機 Ubuntu 18.04/20.04 LTS
②Windows WSL仮想環境 Ubuntu 18.04/20.04 LTS
- Nextcloud
バージョン 25.0.1 (Nov. 3, 2022)
- 検証時期
2022年11月
これから構築するなら、公式が挙げる新しいLTSを選びましょう
- 本記事の検証環境のUbuntu 18.04 LTSは2023年5月31日に、20.04 LTSは2025年5月31日に、標準サポートが終了しています(Canonicalの告知)
- Nextcloud公式の動作要件(2026年9月21日確認)では、Ubuntu 26.04 LTS(推奨)と24.04 LTSが対象です
- 以下のコマンドは2022年11月の検証時のものです。新しい環境で実行する場合は、公式の情報も確認してください
Snapがインストールされていない場合は、以下の記事を参考にインストールしてください。


①Linux実機へNextcloudをインストールする場合
Ubuntuへのインストール
インストールは、Ubuntuサーバーのターミナルでsnapコマンドを実行するだけです。
$ sudo snap install nextcloudインストールが完了すると、Nextcloudは自動的に起動します。続けて、次の「インストール後の初期設定」で管理者アカウントを作成します。
データや設定は、「/var/snap/nextcloud」以下に保存されます。
現在snapでインストールされているパッケージの一覧とバージョン情報は、「snap list」コマンドで確認できます。
$ sudo snap list
Name Version Rev Tracking Publisher Notes
bare 1.0 5 latest/stable canonical? base
core18 20221027 2620 latest/stable canonical? base
core20 20221027 1695 latest/stable canonical? base
core22 20220902 310 latest/stable canonical? base
gnome-3-34-1804 0+git.3556cb3 77 latest/stable/… canonical? -
gnome-3-38-2004 0+git.6f39565 119 latest/stable canonical? -
gnome-42-2204 0+git.d874303 29 latest/stable canonical? -
gnome-calculator 41.1-4-g5c9869a58c 920 latest/stable/… canonical? -
gnome-characters 42.0 781 latest/stable/… canonical? -
gnome-logs 42.0 115 latest/stable/… canonical? -
gnome-system-monitor 42.0 181 latest/stable/… canonical? -
gtk-common-themes 0.1-81-g442e511 1535 latest/stable/… canonical? -
nextcloud 24.0.6snap1 31751 latest/stable nextcloud? -
snapd 2.57.4 17336 latest/stable canonical? snapdsnapの使い方や特徴は、以下の記事をご参照ください。


これでLinux上にNextcloudがインストールされました。
インストール後の初期設定
インストールが終わったら、ブラウザでサーバーにアクセスします。アドレスには、サーバーのIPアドレスを使います。初回のアクセスで、管理者のユーザー名とパスワードの入力を求められます(Nextcloud公式マニュアル)。
ブラウザではなくコマンドで管理者アカウントを作る場合は、nextcloud.manual-install を使います(snap版のREADMEより)。
$ sudo nextcloud.manual-install <ユーザー名> <パスワード>snap版は、標準ではHTTPのポート80で待ち受けます。外部からアクセスする場合などは、nextcloud.enable-https コマンドでHTTPSを有効にできます(自己署名証明書、Let’s Encrypt、独自の証明書に対応)。HTTPSを有効にすると、80番と443番の両方で待ち受けます。Docker環境でのHTTPS化の方法は、以下の記事で紹介しています。


外付けディスクなど、/media や /mnt にあるデバイスをデータの保存先にしたい場合は、snapにアクセスを許可する必要があります。
$ sudo snap connect nextcloud:removable-mediaまた、snap版のNextcloudは、標準で新しい安定版へ自動的に更新されます。更新の設定は管理者が変更できます(Nextcloud公式マニュアルより)。
②Windows10/11のWSLの仮想環境へNextcloudをインストールする場合
Windows上で動作するWindows Subsystem for LinuxにNextcloudをインストールできるか、実際に試しました。WSLにはWSL1とWSL2があります。なお、Nextcloud公式の動作要件(2026年9月21日確認)にWSLは載っていないため、ここでの結果は検証用の参考情報です。
Windows上のWSLへのインストール
WSLのインストールは以下の記事をご参照ください。


上記のネイティブ環境とは異なり、インストール用コマンドを入力してみたところ、次のように表示されました。
$ sudo snap install nextcloud
Interacting with snapd is not yet supported on Windows Subsystem for Linux 1.
This command has been left available for documentation purposes only.このメッセージのとおり、WSL1ではsnapdが未対応のため、インストールが中断されました。WSL1で試す場合は、WSL2への切り替えや、【方法2】のDockerによる方法を検討してください。
Windows上のWSL2へのインストール
Windows上で動作するWindows Subsystem for Linux 2のUbuntu 18.04.5 LTSで、Nextcloudがインストールできるかについても同様に検証しました。
WSL2のインストールは以下の記事をご参照ください。


WSL2でも同じコマンドを入力すると、次のエラーが表示されました。
$ sudo snap install nextcloud
error: cannot communicate with server: Post http://localhost/v2/snaps/nextcloud: dial unix /run/snapd.socket: connect: no such file or directoryこのエラーは、snapdと通信するためのソケット(/run/snapd.socket)が見つからないことを示しています。
その後、WSL2ではsystemdを有効にできるようになりました。Microsoftのドキュメントによると、/etc/wsl.conf に次の2行を追加し、PowerShellで wsl.exe --shutdown を実行して再起動すると、systemdが動作します(WSL 0.67.6以降が必要)。
[boot]
systemd=truesnapは、systemdを使うパッケージ管理システムです(MicrosoftDocsのsystemdの解説)。本記事では、systemdを有効にした状態での再検証は行っていません。/etc/wsl.conf の設定例は、上のWSL2の記事にも掲載しています。設定の詳細は、Microsoftのドキュメントを参照してください。
自宅サーバーへ入れたいNextcloudの便利なプラグイン
Nextcloudは、初期機能に加えてプラグイン・アプリケーションと呼ばれる拡張機能を導入することで、さらに便利に利用できます。以下はオススメのプラグインです。
おすすめのプラグイン
- RcConnect:メール連携(Roundcubemailへの接続)
- Calendar:カレンダー機能
- Tasks:Todo管理
- Talk:チャット、ビデオ
- ReserveRoom:施設予約システム
RcConnectとReserveRoomは、デージーネット社など外部の提供元が公開しているアプリです。導入前に、お使いのNextcloudのバージョンに対応しているかを、提供元の情報で確認してください。
これ以外にもNextcloudには便利なプラグインがいくつもあります。その他のプラグインの紹介は以下の記事をご参照ください。


Nextcloudクライアントソフトのインストール
クライアントアプリ(同期アプリ)には、Windows、macOS、Linux用のデスクトップクライアントがあります。公式の動作要件(2026年9月21日確認)では、Windows 10以降、macOS Monterey(12.0)以降が対象です。
macOSへクライアントソフトをインストールする方法
macOS版のクライアントは、接続先のサーバーがAppleのApp Transport Securityに準拠している必要がある場合があります。その場合は、適切に署名された証明書が必要です(公式の動作要件より)。


Windowsへクライアントソフトをインストールする方法


Nextcloudモバイルアプリ
AndroidおよびiOS用のNextcloudクライアントを使えば、スマートフォンからもファイルにアクセスできます。公式の動作要件(2026年9月21日確認)では、Filesアプリは iOS 17.0以降、Android 9.0以降が対象です。
これらのクライアントソフトは、Google PlayやApp Storeからインストールできます。
Nextcloudをアンインストールする方法
Nextcloudは、以下のsnapコマンドでアンインストールすることができます。
$ sudo snap remove nextcloudアンインストールの前に、必要なデータをバックアップしてください。snap版では、保存したファイルは /var/snap/nextcloud/common/ に、設定やデータベースは /var/snap/nextcloud/current/ にあります。サーバー移行用にデータを書き出す nextcloud.export コマンドもあります(snap版のREADMEより)。
よくある質問
Nextcloudは本当に容量無制限で使えますか?
保存できる量は、サーバーのディスクの空き容量で決まります。次の順で確認してください。
- データの保存先(snap版の標準は
/var/snap/nextcloud/common/)があるディスクの空き容量を確認する - 外付けディスクなどを使う場合は、
sudo snap connect nextcloud:removable-mediaで、snapにアクセスを許可する - 故障に備えて、バックアップ先を別のディスクに用意する
WSLやWSL2でもNextcloudをインストールできますか?
次の順で確認してください。
wsl -l -vで、使っているディストリビューションがWSL1かWSL2かを確認する- WSL1の場合は、snapdが未対応のため、WSL2への切り替え(
wsl --set-version <ディストリビューション名> 2)や、Dockerによる方法を検討する - WSL2の場合は、
/etc/wsl.confでsystemdを有効にしてから、sudo snap install nextcloudを再度実行する(本記事では未検証)
外出先からNextcloudを使うには何が必要ですか?
次の順で確認してください。
- 自宅サーバーへ外部から届く経路を用意する(方法は、回線やルーターの環境によって異なります)
nextcloud.enable-httpsで、HTTPSを有効にする- アクセスに使うホスト名やIPアドレスが、設定ファイル(
/var/snap/nextcloud/current/nextcloud/config/config.php)のtrusted_domainsに登録されているか確認する
まとめ
Nextcloudのsnap版は、Ubuntu実機ではコマンド1つでインストールでき、WSLでは環境によって結果が分かれました。
- Ubuntu実機では、
sudo snap install nextcloudでインストールでき、初回アクセスで管理者アカウントを作成します。 - WSL1ではsnapdが未対応で中断し、WSL2でも検証時はsnapdと通信できずエラーになりました。WSL2は、systemdを有効にしたうえで再確認が必要です。
- 保存容量は自分のディスクで決まり、更新・バックアップ・HTTPS化は自分で管理します。
まずは検証用の環境で試し、運用を始める前にバックアップとHTTPS化を確認しましょう。
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