WEBサイトのURLで「www」がつくかどうかには大きな違いがあります。本記事では、SEO観点で「正規化」が必要な理由を解説し、メリット・デメリット、具体的な設定方法を最新情報を交えて詳しく紹介します。
本記事の読者層は以下の方を想定しています。
- SEOを学び始めた初心者: 初歩から丁寧に解説してほしい人。
- 中小企業や個人事業主: 自社サイトのSEO対策を強化したい経営者や担当者。
- Web開発者やマーケティング担当者: 実務で具体的な手順や最新情報が知りたい人。
ドメインの正規化とは?SEO視点で考える基礎知識
正規化とは、複数のURLが存在する状態を1つに統一する作業です。この手順により検索エンジンが混乱せず、サイト評価が分散することを防ぎます。例えば、www.example.com
とexample.com
が別々に存在すると、重複コンテンツ扱いになる可能性があり、SEOスコアが下がるリスクがあります。
このため、以下ではまずはドメインについての説明をします。
WWWとドメインとは
WWWは、World Wide Web(略称:W3)を表す頭文字です。かつては、ウェブサイトのURLの冒頭に必ず「www」が含まれており、これはそのサイトがウェブ上のコンテンツであることを示していました。ティム・バーナーズ=リー卿(英国のコンピューター科学者)が1989年にWorld Wide Webを発明し、以降、この表記が広まりました。彼はMITで教授を務めた実績を持つ著名なエンジニア兼コンピューター科学者でもあります。
インターネットが登場した初期の頃、ウェブサイトのURLは必ず「www」で始まっていました。しかし、「www」は実際には単なるサブドメインに過ぎず、現在では省略されるケースが一般的です。これにより、ユーザーは「www」を入力せずにアクセスできるようになり、多くのウェブサイトがwwwなしの形式を採用するようになっています。
www.domain.comにおける構造
comの部分
「com」はトップレベルドメイン(TLD)と呼ばれ、最も広く使用されているアドレス形式の一つです。特に「com」は商業用のウェブサイトに多く利用されており、権威あるTLDとされています。同じように有名で信頼性の高いTLDとしては「net」や「org」が挙げられます。
Domainの部分
「domain」の部分はウェブサイト運営者が自由に選択可能です。この部分は「domain.com」といった形で、実際のドメイン名を指します。短く覚えやすい名前や意味のある英単語を使用することで、アクセスしやすさやブランド価値が高まります。たとえば、「example.com」や「mywebsite.com」といった具体的で簡潔な名前が人気です。
「domain.com」に「www」を付けた「www.domain.com」は、特定のホスト名として機能し、ウェブ上でサーバーを識別する役割を果たします。
こちらの理由に興味をお持ちの方は、以下の記事をご参照ください。
URL最後のスラッシュ「/」について
URLの末尾にスラッシュが付くかどうか、たとえば「www.domain.com」と「www.domain.com/」に違いがあるか気になる方もいるでしょう。しかし、これらは基本的に同じドメインを指します。一方で、サブディレクトリやファイルを指定する場合には明確な違いが生じます。
- サブディレクトリ:「www.domain.com/file/」
- ファイル指定:「www.domain.com/file」
上記のように、「/」が付くかどうかでディレクトリとファイルの区別がされるため、正確な構造を理解し、適切に設定することが重要です。
WWWと非WWW:メリット・デメリット比較
WWWの場合
ドメイン名には「www.」で始まるものとそうでないものがあることはよく知られています。しかし、両者の違いは何なのか疑問に思っていませんか?
- ①複数のサブドメインに関連づけを行うことが出来ます。
- ②WWWがあると、ルートドメインのCNAMEを持てるため、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) を使用する場合、wwwをつけておいた方が良い。
- ③DNSに柔軟性があり、複数のサブドメインを使用するときにクッキーを制限する機能などに役立つホスト名として機能します。
- ④若干SEO的に有利。
- ①Web サイトを検索するときにほとんどの人がわざわざ www を入力しないため、最終的には www ドメインが時代遅れになる可能性があることです。
非WWW(ネイキッドドメイン)の場合
- ①非WWWドメインはネイキッドドメインとも呼ばれており、技術的な利点はありません。
- ②名前は短い方が良いという方におすすめです。
- ①ネイキッドドメインの場合は、クッキーによる制限はできません。
wwwと非wwwwの違いについて、このクッキーの観点からもう少しかみ砕いて説明をしてみます。
「www」と「非www」でクッキーが関係するポイント
クッキーの適用
ウェブサイトの「www」や「非www」の設定により、クッキーが適用される範囲が変わることがあります。たとえば:
非wwwの場合
クッキーは「example.com」全体に適用されます。つまり、他のサブドメイン(「shop.example.com」や「blog.example.com」など)でもクッキーが共有される場合があります。
wwwの場合
クッキーは「www.example.com」専用として保存されます。他のサブドメイン(例えば「shop.example.com」)ではそのクッキーが使われないよう制御できます。
クッキーとは
Cookie(クッキー)はWebサイトへのアクセスを行なった際に、サイト側が同じ人が再訪してきたときにわかるように、訪問者のデバイスに残していくデータのことです。インターネットを利用するときに、あなたのブラウザ(ChromeやSafariなど)に一時的に保存される小さなデータのことです。
たとえば:
・ログイン状態を維持する(再度パスワードを入力しなくても済む)。
・ショッピングカートの中身を覚えておく。
・あなたの好みに合わせた広告を表示する。
この違いが何を意味するのか?
1. セキュリティとプライバシー
「www」を使うと、クッキーが特定のサブドメインだけで有効になるため、不要な情報共有を防ぎやすくなります。これにより、セキュリティやプライバシーが向上します。
2. 効率性
クッキーが不要なサブドメインに送信されると通信データが増え、サイトの動作が遅くなる場合があります。「www」を使えば、必要な場所だけにクッキーを送るように調整できます。
3. どちらを選んでも大差はない理由
現在のウェブサイトでは、ほとんどの場合、「www」でも「非www」でもユーザーが感じる違いはほぼありません。これは、ウェブ開発者がどちらを使うか決めた後、適切にクッキーの範囲を設定し、ユーザー体験を整えるためです。
www を使用するもう 1 つの利点は、DNS に関しては www サブドメインの方がはるかに柔軟であることです。そのため、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) をより簡単に使用できます。
例え話で説明すると
クッキーを「自動販売機で発行されるレシート」、サブドメインを「複数の店舗」として考えてみてください。
- 「www」を使うと、レシートは特定の店舗でしか使えないようにできます。たとえば、「駅前店のレシートは駅前店だけで有効」。
- 「非www」を使うと、レシートが全店舗で使える状態になります。たとえば、「駅前店のレシートが郊外店でも使える」。
店舗の運営者が「このレシートはどこで使えるようにするべきか」を調整できるため、実際の利用者(ウェブサイトの訪問者)にとってはほとんど違いを感じません。
ドメインとサブドメインとして設定したい場合
ウェブサイトを運営する際、ドメイン(例: domain.com)やサブドメイン(例: www.domain.com)を設定したい場合があります。この設定を正しく行うことで、ユーザーがスムーズにサイトにアクセスできるようになります。
1. ルートドメイン(domain.com)の設定
ルートドメイン(domain.com)は、Aレコードを使用して設定します。
Aレコードは、ドメイン名をサーバーのIPアドレス(例: 192.168.1.1)に紐付けるものです。これにより、ユーザーが「domain.com」にアクセスすると、正しいサーバーに接続されます。
2. サブドメイン(www.domain.com)の設定
サブドメイン(www.domain.com)は、CNAMEレコードを使用します。
CNAMEレコードは、あるドメイン名(この場合「www.domain.com」)を別のドメイン名(この場合「domain.com」)に関連付ける役割を果たします。これにより、「www.domain.com」にアクセスしても自動的に「domain.com」のサーバー情報が使われるようになります。
ドメインの正規化のメリットとディメリット
だた、二つのドメインを持つと以下のようにディメリットがあります。
googleの検索エンジンは、「www」と「非www」の二つを完全に別々のサイトとして認識します。両方を使用していると2重URLがWEB上に存在することになり、SEO的には不利に働きます。このため、どちらかを削除してURLを統一することをお勧めします。
2つのドメインが登録されている場合に、例えば「www」を残すようにする場合、以下のようにブログをインストールしているディレクトリ内の「.htaccess」に以下のように記載します。すると、google検索エンジンは「www」ありの場合だけを認識してくれるようになります。
正規化の手順:具体的な設定方法
htaccessを利用したリダイレクト設定
以下のコードをwww
ドメインに統一する例です。
#wwwがありの場合
RewriteEngine On
RewriteBase /
RewriteCond %{HTTP_HOST} ^domain.com [NC]
RewriteRule ^(.*)$ http://www.domain.com/$1 [L,R=301]
Google Search Consoleでの設定
Google Search Consoleで「優先ドメイン」を設定することで、検索エンジンへの統一を通知します。
サーバー設定でのリダイレクト
利用しているサーバーによって、専用の管理画面からリダイレクト設定が可能です。例えば、AWSやGoogle Cloud Platformの場合、ロードバランサーでの設定も有効です。
以上の方法などで、2つのドメインを統一することをドメインの正規化と呼んでいます。この正規化手続きによりSEO対策に効果があるというメリットがあります。
詳しくは下記の記事を参照下さい。
まとめ
「www」と「非www」の選択は、ウェブサイトの用途や運用方針によって決まります。特にクッキーやDNS設定に柔軟性が必要な場合は「www」を選ぶのが一般的ですが、視覚的な簡潔さを重視する場合は「非www」を選択するのも一つの方法です。
正規化はSEOの基本ですが、その影響は大きいです。以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
- 正規化でSEO評価を統一し、検索順位を向上させる。
- WWWと非WWWの特徴を理解し、サイトに適した選択をする。
- Google Search Consoleや.htaccessを活用して効率的に正規化を設定する。
次回の記事をご期待下さい。どうぞよろしくお願いいたします。
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