本記事では、オープンソースのデータベース管理システム(DBMS)であるSQLiteとMySQLについて、その違いや用途、初心者向けの利用方法を詳しく解説します。性能やデータ管理の観点から、両者の比較を行い、それぞれの強みと選び方についても説明します。
本記事の読者層は以下の方を想定しています。
- データベースの基本的な使い方や、どのシステムを選ぶべきかを知りたい方。
- 小規模なウェブアプリケーションやモバイルアプリのデータベースを設定したい方。
- 大規模なデータベースの構築やパフォーマンスの最適化に関心がある方
SQLiteとは?基本と特徴
データーベース
「データベース」とは、一定の構造を持ったデータ全体を総称して呼ばれています。簡単な住所リストや販売リストから絵画のギャラリー、または社内ネットワークの膨大な量の情報など、さまざまなものがあります。 コンピュータデータベースに格納されているデータに対して追加、アクセス、および処理などを行うには、MySQL Server のようなデータベース管理システムが必要となります。
ブログやオンラインショッピングなどのサイトを稼働させるためにバックグランドで動作しているものがこのデータベースサーバーです。
SQLiteとは?
SQLiteは、非常に軽量でありながら機能が豊富なデータベース管理システムです。サーバー不要で、プログラムに組み込んで使うことができるため、モバイルアプリや組み込みシステムなどで広く利用されています。
例えば、スマートフォンで動作するアプリのバックエンドとしてSQLiteが用いられるケースが多く、その軽さと柔軟性が特に評価されています。これに対し、MySQLはウェブサーバーのような大規模システムでの利用に適しており、大量のデータを高速で処理できる点で知られています。
- 軽量で高速:アプリケーションに直接組み込める軽さが最大の魅力です。
- 設定不要:サーバーのインストールや設定が不要で、ファイルベースで動作します。
- 高い移植性:Linux、Windows、macOSなど、さまざまなプラットフォームで動作します。
- 並行処理の弱さ:複数のクライアントから同時に大量のデータアクセスを行う大規模システムには不向き
- 機能の制限:トリガーやストアドプロシージャなど、複雑なデータ処理には不向き。
MySQLとの比較
SQLiteが軽量さを重視したシステムである一方、MySQLは多機能で大規模なデータベース管理に向いています。以下は、SQLiteとMySQLを比較した表です。
特徴 | SQLite | MySQL |
---|---|---|
インストール | 必要なし | サーバーのセットアップが必要 |
速度 | 軽量・高速 | 大量データ処理に強い |
用途 | 小規模アプリ・組み込み | 大規模Webアプリケーション |
同時接続 | 弱い | 高い並行処理能力 |
機能 | 基本機能のみ | 高度なデータ管理が可能 |
この表からもわかるように、SQLiteは特定の条件下で非常に効果的なDBMSである一方、MySQLはより汎用性の高いシステムとして使われています。
その他のデーターベースアプリ
データベース管理システム(DataBase Management System, DBMS)は、アプリやウェブサイトのプログラムを利用して、データベースのデータを利用出来るようにすることができます。
ユーザーは、アプリケーションソフトを利用してデータベース管理システムをコントロールしてデータベース内の様々な情報にアクセスすることができます。
データーベース管理システムの例
DBMSとして、実用性も兼ね備えており十分な機能を持っているものとして、
SQLite
SQLiteは軽量・コンパクトなオープンソースのデータベースです。 設定不要・マルチプラットフォーム・データ型の指定が緩い、といった特徴やメリットを持っています。MySQLと比べるとコンパクトで高速でありながら、高機能なSQLデーターベースを提供します。
https://www.sqlite.org/index.html
MySQL
MySQL は、もっとも普及しているオープンソース SQL データベース管理システムで、オラクル社により開発、流通、およびサポートが行われています。高速で拡張性があり、複数のプログラミング言語に対応しています。大規模なWEBアプリケーションや大量のデータを扱うアプリに適しています。
が良く知られています。これらのソフトはPythonプログラムから直接制御ができます。
PostgreSQL
PostgreSQL(ポストグレスキューエル、略称: Postgres)は、強力でオープンソースのリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)です。以下は、PostgreSQLに関する重要な特徴や概要です。
MongoDB
MongoDB(モンゴディービー、略称: Mongo)は、人気のあるオープンソースのNoSQL(Not Only SQL)データベース管理システムであり、ドキュメント指向データベースの一種です。以下は、MongoDBの主な特徴や概要です
SQLiteを使ったデータベースの基本操作
では、SQLiteの基本操作を見ていきましょう。まず、SQLiteは他のDBMSと同様にSQLを使用してデータの定義、操作、制御を行います。初心者でも簡単に利用できる操作として以下のものがあります。
データベースの作成
sqlite3 mydatabase.db
このコマンドで、mydatabase.db
というファイルが作成され、これがデータベースとして機能します。
テーブルの作成
データベースにテーブルを作成するには、次のようなSQL文を使用します。
CREATE TABLE users (
id INTEGER PRIMARY KEY,
name TEXT,
age INTEGER
);
ここで、users
というテーブルが作成され、id
、name
、age
というカラムを持つようになります。PRIMARY KEY
は、一意のIDを割り当てるための制約です。
MySQLの利用場面と利点
一方で、MySQLは大規模なデータベースを扱うための強力なツールです。ウェブサイトのバックエンドや企業の業務システムで広く使われています。以下に、MySQLが適しているケースをいくつか紹介します。
- 大規模データ処理:数百万件以上のデータを扱う場合、MySQLの処理能力はSQLiteを上回ります。
- 複数ユーザーによる同時アクセス:並行してデータにアクセスする大規模システムにおいて、MySQLは優れたパフォーマンスを発揮します。
また、MySQLでは高度なユーザー権限管理やセキュリティ設定が可能で、ビジネス用途での使用にも耐えうる機能が揃っています。
SQLiteとMySQLの性能比較
SQLiteとMySQLの性能を具体的に比較すると、SQLiteは少数のトランザクションで優れた性能を発揮しますが、MySQLは複数のユーザーが同時に大量のクエリを実行する場合に優位性があります。
例えば、1000件のデータを挿入する場合、SQLiteはその軽量さゆえに非常に高速ですが、100万件のデータをリアルタイムで処理するようなシステムではMySQLが勝ります。このように、用途によって適切なDBMSを選択することが重要です。
SQLite vs MySQL:どちらを選ぶべきか?
最後に、SQLiteとMySQLのどちらを選ぶべきかを考えます。一般的に、小規模なアプリケーションやモバイルアプリなど、データ量が少ない場合はSQLiteが適しています。設定が不要で簡単に導入できる点が大きなメリットです。
一方、データ量が増加し、システムの複雑さが増すと、MySQLの方が安定して高性能を発揮します。特に、並行処理が求められるシステムや、複数のクライアントから同時にアクセスされるウェブアプリケーションにはMySQLが適していると言えます。
SQLiteの基本コマンド
現代のデータベースの大半はSQLという言語を利用して操作できるようになっています。このSQLは、データを問い合わせるための言語(DataBase Query Language)です。
1.データ定義言語 (Data Definition Language:DDL)
DDLはデータベース管理システムで使用される言語の一種である。通常はデータベースの設計と作成における最初のステップで使用されます。DDLではデータベースのスキーマを変更するために使用されますが、データベースの実際のデータそのものは変更されません。
例えば、
ユーザー作成
①CREATEコマンド:データベースオブジェクト(テーブル、インデックス、ビューなど)を作成するために使用します。
CREATE TABLE users (
id INTEGER PRIMARY KEY,
name TEXT,
age INTEGER
);
②DROP:データベースオブジェクトを削除するためのコマンド
DROP TABLE users;
③ALTER:テーブルにカラムを追加するなど、データベースオブジェクトを変更するためのコマンドです
ALTER TABLE users ADD COLUMN email TEXT;
④DELETE FROM:テーブルやカラムの名前を削除するために使用します。
DELETE FROM users;
⑤RENAME: テーブルやカラムの名前を変更するために使用します。
ALTER TABLE users RENAME TO customers;
2.データ操作言語 (Data Manipulation Language:DML)
データベース管理システム (DBMS) で使用される言語の一種です。データベース内のデータを操作するための命令を提供します。DMLコマンドは、以下ようにテーブル内のデータを「挿入」、「更新」、「削除」、「検索」するために使用される4つのメイン操作があります。
最低これだけ知っていれば、データベース内で保存・管理ができ必要なときにデータを取り出すことが出来ます。
データを検索
SELECT: テーブルからデータを取得するためのコマンド
コマンド文は以下のようになります。
mysql> SELECT カラム名=変更内容, FROM (テーブル名) 条件;
データを挿入
INSERT: テーブルにデータを挿入するためのコマンド
コマンド文は以下のようになります。
mysql> INSERT into (テーブル名) values(データ,);
データを更新
UPDATE: テーブル内のデータを更新するためのコマンド
コマンド文は以下のようになります。
mysql> UPDATE (テーブル名) SET カラム名=変更内容 where 条件式;
データを削除
DELETE: テーブル内のデータを削除するためのコマンド
コマンド文は以下のようになります。
mysql> DELETE FROM (テーブル名) where 条件式;
DDLとDMLの違い
- DDLはデータベースの構造を変更するためのコマンドであり、データそのものには影響を与えません。テーブルやインデックスなどの作成、変更、削除が対象です。
- DMLは、データそのものを操作するためのコマンドで、データの挿入、更新、削除、検索を行います。
両者は、データベース管理システム(DBMS)の基本的な機能を構成し、適切に使用することでデータベースの運用と管理がスムーズに行えます。
3.データ制御言語 (Data Contril Language:DCL)
QLiteには、GRANT
や REVOKE
コマンドがサポートされていません。これは、SQLiteがシングルユーザー向けの軽量なデータベースであり、ユーザー管理やアクセス制御の機能を持たないためです。SQLiteのアクセス制御は、ファイルレベルでOSのファイルパーミッションによって制御されます。
まとめ
SQLiteとMySQLの選択は、システムの規模や要求される性能によって決まります。SQLiteは軽量で導入が容易なため、開発の初期段階や小規模なプロジェクトに適しています。一方で、MySQLは大規模なウェブアプリケーションやデータの増加に強く、将来的にデータベースの拡張を見据えた場合に選択されるべきツールです。
次回の記事をご期待下さい。どうぞよろしくお願いいたします。
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