Linuxサーバー向けのディストリビューションで迷っている初心者の方に向けて、Ubuntu Serverをおすすめする理由と、Debian・Rocky Linuxなど他の選択肢との違いを、公式情報をもとに解説します。
管理人本記事の読者層は以下の方を想定しています。
- Linuxサーバーの構築を考えていて、どのディストリビューションを使うか決められない方
- Linux初心者で、Ubuntuを候補にしている方
- CentOSの代わりになるディストリビューションを探している方
Linuxサーバー向けディストリビューションとは?
Linuxサーバーを作るときは、最初に「どのディストリビューションを使うか」を決める必要があります。結論から言うと、初心者の方には、情報が探しやすく、サポート期間も分かりやすいUbuntu Serverをおすすめします。 ただし、CentOSからの乗り換えや、企業の業務システムなど、目的によってはDebian、Rocky Linux、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)のほうが合う場合もあります。
Linuxディストリビューションとは、OSの中核であるLinuxカーネルに、ライブラリ、シェル、コマンド、CUI/GUIの実行環境などのソフトウェアを組み合わせて、インストールしてすぐに使えるようにしたものです。カーネルは共通でも、組み合わせるソフトウェアやパッケージ管理の仕組み、サポート期間はディストリビューションごとに異なります。
ディストリビューションの数は非常に多く、Linux Magazineが紹介したDistroWatchの集計(2024年初頭)では、掲載されている958件のうち、更新が続いているものは274件でした。サーバー用途でよく使われるのは、その中の一部です。
Linuxサーバーは、ファイルサーバーのような小さな用途から、大規模なクラウド基盤まで、幅広い用途で使われています。たとえばUbuntuの公式チュートリアルでは、Ubuntu Serverについて、簡単なファイルサーバーから大規模なクラウドまで動かせると紹介されています。
主なLinuxサーバー向けディストリビューションの比較
サーバー用途で候補になる主なディストリビューションを、2026年10月時点の公式情報をもとに整理しました。「サポート期間の目安」は、セキュリティ更新などが提供される期間です。
| ディストリビューション | 位置づけ | 費用 | サポート期間の目安 | 向いている方 |
|---|---|---|---|---|
| Ubuntu Server(LTS) | Debianをベースにした、Canonical社が開発を支援するディストリビューション | 無料(有償のUbuntu Proあり) | 標準で5年。Ubuntu Proでは最長10年(26.04 LTSの標準サポートは2031年まで) | 初心者、情報の多さを重視する方 |
| Debian | コミュニティが開発する汎用のディストリビューション | 無料 | 5年(フルサポート3年+LTS2年)。Debian 13は2030年6月30日まで | 安定性を重視し、シンプルに運用したい方 |
| Rocky Linux | RHEL互換。CentOS Linuxの代わりとして使われる | 無料 | Rocky Linux 10は2035年5月31日まで | CentOSからの移行や、RHEL系の手順を使いたい方 |
| Red Hat Enterprise Linux(RHEL) | Red Hat社の商用ディストリビューション | 有償(サブスクリプション) | Red Hat社の公式ライフサイクルで確認 | ベンダーの商用サポートが必要な企業 |
| Fedora Server | Red Hat社が支援するコミュニティ版。RHELの上流にあたる | 無料 | Fedora Projectの公式ページで確認 | 新しい技術を早く試したい方 |
※費用とサポート期間は、2026年10月時点の公式情報にもとづきます。最新の情報は、各公式サイトで確認してください。
主なディストリビューションの公式サイト
- Debian コミュニティが開発するディストリビューション (無料)
- Ubuntu Canonical社が開発を支援するディストリビューション。Debianをベースにしている (無料)
- Fedora Red Hat社が支援するコミュニティ版。RHELの上流にあたる (無料)
- CentOS CentOS Linuxは終了し、現在はRHELの上流にあたるCentOS Streamを提供
- Rocky Linux RHEL互換のディストリビューション (無料)
- Red Hat Enterprise Linux Red Hat社が開発している有償のディストリビューション
Linuxサーバーの初心者にUbuntuをおすすめする理由
UbuntuはDebianをベースにしたディストリビューションで、2004年10月に最初のバージョン(4.10)が公開されました。現在は、デスクトップ、サーバー、クラウド、IoT・組み込み機器向けのエディションがあります。ここからは、初心者がLinuxサーバーを始めるときにUbuntu Serverをおすすめする理由を、公式情報で確認できる事実と、筆者の見解を分けて説明します。
無料で使え、必要なスペックも確認しやすい
Ubuntuは無料で入手して使えます。サポートが必要な場合は、有償のサブスクリプションであるUbuntu Proがあります。
必要なスペックは、公式のリリースノートで確認できます。Ubuntu Server 26.04 LTSは、用途によって要件が変わり、最小で1.5GBのメモリと4GBのストレージからとされています。一方、Ubuntu Desktop 26.04 LTSは、2GHzのデュアルコアCPU、6GBのメモリ、25GBの空き容量が必要です。サーバー用途では、Server版の要件が目安になるため、スペックの低いパソコンを活用できる場合があります。
ただし、無料で使えることや、軽い構成で動かせることは、ほかのオープンソースのディストリビューションにも共通する利点で、Ubuntuだけの特徴ではありません。ここからは、筆者がUbuntuを初心者におすすめしたいと考える、ほかの点を説明します。
大規模なユーザーコミュニティーがあり、情報を探しやすい
Ubuntuの公式チュートリアルでは、Ubuntuのコミュニティーは、デスクトップ版もサーバー版も、親しみやすく参加者の多いコミュニティーの一つだと紹介されています。困ったときは、同じ問題を解決した人がすでにいる可能性が高いとも説明されています。これはCanonical自身の説明ですが、初心者にとっては、情報が見つかりやすいことが大きな助けになります。
Ubuntuの日本語コミュニティーであるUbuntu Japanese Teamのサイトを、次に紹介します。
Kubuntu、Lubuntu、XubuntuなどUbuntuの公式フレーバーも公開されています。


筆者は「数は正義」というつもりはありませんが、多くのユーザーがいれば、情報がネットワークを介して交換されやすく、多くの目にもとまりやすいと思います。トラブルがあれば解決策も見つかりやすく、継続的に利用できそうです。これが、初心者にも好まれるコミュニティーになった原因かもしれません。
パッケージ管理システムで、ソフトウェアを導入しやすい
UbuntuはDebianをベースにしており、Debianと同じ系統のパッケージ管理システム(APT)を使います。公式のサーバーガイドでも、aptコマンドでパッケージを導入する手順が案内されています。
Linuxでは、ソフトウェアが別のソフトウェア(ライブラリなど)に依存しているため、インストールの際に依存関係を意識する必要があります。パッケージ管理システムは、この依存関係を含めて、インストールやアンインストール、バージョンの管理を助けてくれます。Windowsからの移行で初めてLinuxを使う方にとっても、ソフトウェアの管理が扱いやすくなります。
LTSで長期間のサポートを受けられる
Ubuntuは、4月と10月に新しいバージョンが公開されます。このうち、偶数年の4月に公開されるものがLTS(Long Term Support)で、標準で5年間のセキュリティ更新が提供されます。たとえばUbuntu 26.04 LTSは2026年4月に公開され、標準のサポートは2031年までです。Ubuntu Proのサブスクリプションを使うと、拡張セキュリティメンテナンス(ESM)の更新を、最長10年間受けられます。
LTSから次のLTSへアップグレードするときは、公式のリリースノートで手順を確認してください。たとえば、22.04 LTSなど古いバージョンから26.04 LTSへは、途中のバージョンを経由して段階的にアップグレードする必要があります。
なお、Debianの安定版も5年間のサポートがあるため、サポート期間だけでUbuntuが優れているわけではありません。Debianについては、後の章で説明します。
ドライバーを導入しやすい
Ubuntuでは、NVIDIAのドライバーを、ubuntu-driversというツールで導入できます。公式のサーバーガイドでは、このツールを使う方法が推奨されており、GPUを使うサーバーでもドライバーの導入手順を確認できます。
2000年代にdebianをつかっていた筆者は、ディスプレイを表示させるだけで四苦八苦していました。この頃に比べ、Linuxの進化を肌身で感じています。
日本語の情報も探しやすい
Ubuntu Japanese Teamは、日本語のWebサイトやフォーラム、Wikiを運営してきました。日本語で情報を探したいときや、質問したいときの手がかりになります。
筆者の印象では、Ubuntuは日本国内の利用者も多いようです。国内の利用者が多ければ、日本語の情報も集まりやすいと思います。情報が多いほど、トラブルを解消しやすいというメリットがあります。
Ubuntu以外のLinuxサーバー向けディストリビューションを選ぶ場合
Ubuntuが初心者におすすめでも、目的によっては、ほかのディストリビューションが合う場合があります。
Debian:安定性を重視する場合
Debianは、Ubuntuのベースになっているディストリビューションです。Debianの公式ページでは、安定版(stable)が、本番環境での利用を主に推奨するリリースとされています。新しい安定版は、おおむね2年ごとに公開されます。サポートは5年間(フルサポート3年+LTS2年)で、Debian 13(trixie)は2025年8月9日に公開され、LTSは2030年6月30日までです。
筆者は、初心者にはUbuntuの情報量が心強いと考えていますが、Debianが劣っているわけではありません。
CentOSの代わりを探している場合:Rocky LinuxなどRHEL互換のディストリビューション
CentOSプロジェクトの公式ページによると、CentOS Linux 7は2024年6月30日に、CentOS Linux 8は2021年12月31日に、それぞれ終了しています。CentOS Linuxは、RHELを再構築したディストリビューションでした。一方、現在のCentOS Streamは、次のRHELの内容を先に取り込む、上流(開発側)のディストリビューションです。
そのため、以前のCentOS Linuxと同じように、RHELと互換性のあるディストリビューションを使いたい場合は、Rocky Linuxなどが移行先の候補になります。Rocky Linuxの公式ドキュメントでは、Rocky Linux 10は2025年6月11日に公開され、2035年5月31日までがライフサイクルとされています。AlmaLinuxも、RHEL互換のディストリビューションとして、同じ目的で使われています。
商用サポートが必要な場合:Red Hat Enterprise Linux(RHEL)
RHELは、Red Hat社が提供する商用のディストリビューションで、サブスクリプションによるサポートがあります。Fedoraの公式ドキュメントでも、RHELは、サービスレベルの保証(SLA)がある、商用のサポート付き製品と説明されています。ベンダーのサポートが必要な、企業の業務システムなどで検討します。
新しい技術を試したい場合:Fedora
以前の版では、FedoraをRHELの前身と書いていましたが、正しくはRHELの上流(アップストリーム)にあたります。Red Hat社は、Fedoraのあるバージョンをもとに、テストや認証を重ねて、新しいバージョンのRHELを作っています。Fedoraの公式ドキュメントでは、RHELが安定性を重視するのに対して、Fedoraは更新のポリシーがより柔軟だと説明されています。サーバー向けには、Fedora Serverも提供されています。
筆者は、安定性を望むならUbuntuをおすすめします。多少の不便があっても新しい技術を試したい場合は、Fedoraも候補になります。ただし、Fedoraで問題が起きたときは、初心者には対応が難しい場合があると考えています。逆に言えば、これもUbuntuをおすすめする理由の一つです。
Ubuntu Core:IoT・組み込み機器向け
Ubuntu Coreは、IoT・組み込み機器向けのUbuntuです。公式のドキュメントでは、システム全体をsnapというパッケージ形式で構成し、更新を自動で行う仕組みだと説明されています。通常のUbuntuと同じ基盤から作られていますが、パッケージの形式や更新の仕組みが異なります。初めてLinuxサーバーを構築する場合は、まず通常のUbuntu Serverを選ぶと考えやすいでしょう。
Linuxサーバーのディストリビューションに関するよくある質問
Linuxサーバー向けに、無料で使えるディストリビューションはどれですか?
この記事で紹介したUbuntu、Debian、Rocky Linux、Fedoraは、無料で入手できます。RHELは、Red Hat社のサブスクリプションが必要な、有償の製品です。無料のディストリビューションでも、商用のサポートが必要な場合は、有償のサポートを別に検討してください。たとえばUbuntuには、有償のUbuntu Proがあります。
Linuxのディストリビューションは安全ですか?
ディストリビューションの種類だけで、安全かどうかは決まりません。次の順に確認してください。
- サポート期間内のバージョンを使っているか。たとえば、CentOS Linux 7は2024年6月30日に終了しています。
- 公式サイトからダウンロードしているか。Fedoraの公式ダウンロードページでは、イメージのチェックサムとOpenPGP署名で、ダウンロードしたファイルを検証する手順が案内されています。
- 更新を続けているか。サポート期間内でも、更新を適用しなければ、修正は反映されません。
Ubuntu ServerとUbuntu Desktopの違いは何ですか?
どちらもUbuntuですが、Ubuntu Serverは、ネットワークやサービス向けのバージョンです。公式のチュートリアルでは、Ubuntu Serverのインストールには、グラフィカルなインストーラーではなく、テキストメニュー形式の画面を使うと説明されています。必要なスペックも異なり、公式のリリースノートでは、Ubuntu Desktop 26.04 LTSのほうが、多くのメモリと空き容量を求めています。
ディストリビューションの最新情報を調べるには
以上、Linuxサーバー向けの主なディストリビューションの違いと、初心者にUbuntu Serverをおすすめする理由を説明しました。ほかのディストリビューションにも、それぞれの特徴があります。新しいバージョンの公開状況や各ディストリビューションの動向は、DistroWatchで確認できます。


まとめ
Linuxサーバーを初めて作る初心者の方には、Ubuntu Serverがおすすめです。理由は次の3点です。
- 利用者とコミュニティーが大きく、困ったときに情報を探しやすい点。
- LTSで標準5年のサポートがあり、Ubuntu Proを使うと最長10年まで延長できる点。
- aptによるパッケージ管理で、ソフトウェアの導入と管理がしやすい点。
CentOSからの移行にはRocky Linuxなど、目的に合わせて、ほかのディストリビューションも検討してください。
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