ルーターは、インターネット接続を複数のデバイスで共有するための重要な装置であり、ローカルネットワークのトラフィック管理やセキュリティ面でも大きな役割を果たします。しかし、適切なセキュリティ対策を行わないと、不正アクセスやウイルス感染のリスクが高まる可能性があります。本記事では、ルーターのセキュリティを高めるための7つの設定方法と最新の情報を踏まえて、その重要性を解説していきます。
本記事の読者層は以下の方を想定しています。
- 家庭内ネットワークセキュリティに関心がある方
- 小規模なネットワークを運営し、手軽にセキュリティ対策を強化したいと考えている方
- 在宅で仕事をしているため、自宅のネットワークセキュリティを向上させる必要がある方
ルーターの役割とは
ルーターは、インターネット接続を複数のデバイスで共有するために欠かせない装置です。インターネットからのデータを各デバイスに配信し、デバイス間の通信を管理する「交通整理役」として機能します。
ハブとの違いは、ルーターが異なるネットワーク同士を接続し、データ(パケット)を転送する機能を持っている点です。ハブは、同一ネットワーク内のデバイス間でのみ通信を行うため、インターネットと接続する場合にはルーターが不可欠となります。
ルータを設置しないと?
ルーターを設置せずにインターネットに接続すると、外部からの不正アクセスやウイルスの感染リスクが大幅に高まります。例えば、ルーターがないと家庭内のパソコンやデバイスが直接インターネットに晒されるため、攻撃者が容易にアクセスできる状態となります。
ルーターを設置することで、これらの脅威からデバイスを保護し、セキュリティ対策を強化することが可能です。また、サーバーの前にルーターを置くことでサーバーの負荷軽減にも役立ちます。
ルーターのセキュリティ対策が必要な理由
ルーターは、家庭やオフィス内のネットワークを外部から守る「最前線」として機能し、ネットワーク全体のセキュリティを一括して管理する重要な役割を果たしています。インターネットに接続されるデバイスは、PCやスマートフォン、タブレット、プリンター、ネットワークカメラ、NAS(ネットワーク接続ストレージ)など多岐にわたり、それぞれに個別のセキュリティ対策を施すのは煩雑であり、手間がかかります。特にNASやリモートアクセス機能を持つデバイスは外部からの攻撃に対する脆弱性が高いため、ルーターを用いた統一的なセキュリティ対策が不可欠です。
多様なデバイスのセキュリティリスク
現代のネットワーク環境では、家庭やオフィス内に数十台のデバイスが接続されているケースも珍しくありません。2023年の調査によると、平均的な家庭で接続されるデバイス数は約12台で、企業やSOHO(Small Office Home Office)環境ではその数がさらに増加します。各デバイスに対して個別にセキュリティ設定を行うのは現実的ではなく、特にリモートアクセス機能を持つデバイスは攻撃対象となりやすいため、ルーターを介した一元管理が必要です。
例えば、家庭用ネットワークカメラは外出先からのリモート監視が可能で便利ですが、設定が不十分な場合、外部から不正にアクセスされるリスクがあります。サイバー犯罪者がカメラをハッキングし、家庭内の様子を覗き見されるといったプライバシー侵害が発生する可能性があります。実際に、2022年に報告された家庭用ネットワークカメラへの不正アクセス事例は10万件を超え、多くの家庭でプライバシーが脅かされる事態が起こっています。
また、NASに保存されているデータも外部から狙われやすく、2021年にはNASデバイスに対するランサムウェア攻撃が急増しました。この攻撃では、NAS内のファイルが暗号化され、解読のための身代金を要求されるケースが多発しています。ルーターのセキュリティ設定が適切であれば、このような外部からの攻撃を未然に防ぐことが可能です。
ルーターの役割とセキュリティ対策の重要性
ルーターは、家庭やオフィス内のネットワークを外部のインターネットと接続するための重要なゲートウェイです。これにより、内部のデバイスを外部の脅威から守る役割を果たします。具体的には、ルーターはファイアウォールやNAT(ネットワークアドレス変換)機能を使用して、内部ネットワークに接続されたデバイスを外部から見えなくすることで、外部からの不正アクセスを防ぐことができます。
しかし、ルーターの設定がデフォルトのままだと、これらの機能が十分に活用されず、セキュリティの脆弱性を残すことになります。実際、デフォルトのパスワードや設定がそのまま使用されているルーターは、外部からの不正アクセスのターゲットになりやすく、悪意のある攻撃者が簡単に侵入することが可能です。2022年には、デフォルト設定のまま使用されていたルーターが原因で発生したセキュリティ侵害事例が全体の25%を占めており、初期設定のままで使用する危険性が浮き彫りになっています。
次に、具体的なルーターのセキュリティ対策として、設定すべき7つの項目を詳しく見ていきましょう。
ルーターで行うべき7つのセキュリティ設定
パスワードの再設定
ルーターにアクセスするための管理者パスワードは、初期設定のまま使用しないことが重要です。多くのルーターは出荷時に「admin」や「password」といった簡単に推測できるパスワードが設定されており、これをそのまま使用すると不正アクセスのリスクが高まります。パスワードは長く、ランダムな文字列に変更し、辞書に載っている単語は避けましょう。
Wi-Fiパスワードの強化
Wi-Fiネットワークのパスワードも、初期設定のままにしておくとリスクが高まります。特にランダムに見える初期パスワードでも、場合によっては推測されやすいものがあります。強力なパスワードに変更し、定期的に見直すことが推奨されます。また、WPA3などの最新の暗号化方式をサポートする場合は、それを使用することでさらにセキュリティが向上します。
SSID(ネットワーク名)の変更
デフォルトのSSID(Wi-Fiネットワーク名)を使用すると、第三者が使用しているルーターの製造元や機種を特定しやすくなります。SSIDを変更することで、攻撃者が特定のルーターに対して行う攻撃を防ぐことができます。ネットワーク名は個人情報や場所を特定されないような名称に変更しましょう。
UPnP(ユニバーサル・プラグ・アンド・プレイ)の無効化
UPnPは、ネットワークデバイスが自動的に通信ポートを開放できる便利な機能ですが、これが原因で不正アクセスのリスクが高まることがあります。UPnPを無効にすることで、外部からの不正な通信を防ぎやすくなります。
ルーターのリモート管理の無効化
ルーターのリモート管理機能は便利ですが、これを有効にしておくと外部からルーターにアクセスできるリスクが生じます。特に、外出先や不特定のネットワークからルーターにアクセスする必要がない場合は、この機能を無効にしておくことを強く推奨します。
ポート転送設定の確認
ポート転送は、特定のデバイスやサービスが外部と通信するために使用されますが、必要以上に多くのポートを開けていると、外部からの攻撃にさらされる可能性が高くなります。ポート転送を使用している場合は、必要なポートのみを開放し、不要なポートは閉じておくことがセキュリティ強化につながります。
定期的なファームウェアの更新
ルーターも他のデバイスと同様に、セキュリティホールや脆弱性が発見されることがあります。これを防ぐために、ルーターのファームウェアは定期的に更新することが重要です。最新のファームウェアには、既知の脆弱性に対する修正や新たなセキュリティ機能が含まれていることが多いです。
最新のルーター製品情報と選び方
ルーターのセキュリティ対策を万全にするためには、信頼性の高い製品を選ぶことも重要です。以下は、2024年現在において推奨されるルーター製品の情報です。
Yamahaルーター
本製のルーターとして信頼性が高いのがYamahaの製品です。業務用としても使用される高性能モデルが家庭用にも提供されており、強力なセキュリティ機能とカスタマイズ性が魅力です。企業向けのセキュリティ機能が標準装備されているため、家庭でも安心して利用できます。
バッファロー製品
バッファローは、日本の家庭用ルーター市場において高いシェアを誇るブランドです。セキュリティ機能が充実しており、初心者にも使いやすいインターフェースを提供しています。手頃な価格帯からハイエンドモデルまで、幅広いラインアップが揃っています。
IO-DATAの製品
IO-DATAもバッファロー同様、家庭用ルーターとして高い評価を受けています。価格が手頃ながらも、最新の暗号化技術やセキュリティ機能が搭載されており、コストパフォーマンスに優れた選択肢となっています。
まとめ
ルーター機能として本記事では
- ルーターのパスワードやWi-Fi設定を強化し、ネットワークの安全性を保つことが重要です。
- 不必要な機能(UPnP、リモート管理)を無効化し、外部からの不正アクセスを防ぎます。
- 定期的なファームウェアの更新で、ルーターの脆弱性を防ぎ、ネットワーク全体のセキュリティを向上させます。
次回の記事をご期待下さい。どうぞよろしくお願いいたします。
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